【完全保存版】『リトル沖縄』大阪・大正区ってどんなところ?

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こんにちは。大阪にリトル沖縄と呼ばれる地区があるのはご存知ですか?飛行機に乗らなくても、バスや電車で行ける”沖縄”をご紹介します。

はいさい!おいらの出番だな!リトル沖縄の案内は任せてくれ!

目次

『リトル沖縄』について

大阪にリトル沖縄ができた経緯

大阪市を構成する24行政区のうちの一つ、大正区(タイショウク)には沖縄県出身が多く、2世3世を含むと、人口8万人のうち4分の1を占めます。(が、実際のところ、区の担当者からは「沖縄からの移住者を対象にした調査などは実施しておらず、正確な数は定かではない」とされています。)

ここだけの話

さまざまなサイトや文献で『人口8万人のうち、4人に1人が沖縄県出身』と言われていますが、この情報は、かれこれ数十年以上も前の統計であり、令和4年7月現在、大正区の人口は60565人まで減少しています(大阪市:推計人口より)。また、子孫は4世5世まで増えているので、4人に1人というのはもはや当てはまらないかもしれません。


大正区の次に多いのは、その隣街の西成区。

沖縄本島北部出身者が多く、大正区ではその中でも現在の名護市出身、西成区では本部町今帰仁村出身の方が多く住んでいます。

なぜこの地域に沖縄県出身者が多く集まっているのでしょうか。

その理由は100年ほど前に遡ります。

大正区への移住者が本格的に増えたのは第一次世界大戦後。

沖縄では深刻な不況で米はおろか芋も食べれず、

毒性のある野生のソテツで飢えを凌いだ「ソテツ地獄」と呼ばれた苦しい時期がありました。

ソテツ地獄の間、沖縄では日本本土へ出稼ぎや海外へ移民する人たちが増えました。

その頃大阪は、紡績産業をはじめとする軽工業の発展により多くの労働力を必要としていました。

その中心を担ったのは、渋沢栄一や藤田伝三郎らが出資した大阪紡績(現・東洋紡)。

大阪紡績は、大正区の三軒家村で設立されました。

三軒家公園内には、「近代紡績工業発祥の地」と記された碑が建っています。

24時間操業のこの工場では、沖縄で募集されたたくさんの女性が働いていました。

当初は出稼ぎのつもりだった人が定住し、やがて沖縄人集住地区が形成されるように。

当時は「朝鮮人・琉球人お断り」という張り紙が当たり前なぐらい差別がひどかった時代。だから自然と沖縄出身者は大正区内の何箇所かに集まり、ゆいま〜る精神で助け合うようになったんじゃよ。

ちなみに「ゆいまーる」とは、沖縄の方言で助け合いを表す言葉です。

大正への行き方

電車でいく場合

大正区には、JR大阪環状線大阪メトロ長堀鶴見緑地線の大正駅がありますが、

沖縄の風を感じたいならJR大阪環状線がオススメです。

・JR大阪駅から内回りで5駅(11分・180円)
・JR大阪駅から外回りで14駅(31分・180円)


ホームに降りると、シーサーとハイビスカスが描かれた駅名標が目に飛び込んできます。

そして発車メロディに耳を傾けると、沖縄民謡『てぃんさぐぬ花』が聴こえてきます。(大阪環状線はすべての駅でメロディが異なります。)

おいらの絵が壁に♫
「てぃんさぐ」とは「鳳仙花(ホウセンカ)」のことじゃよ。

大阪メトロでいく場合は、長堀鶴見緑地線にのって、終点の「大正」で降ります。

・なんば駅から心斎橋駅で乗り換えて4駅(約18分・230円)
・梅田駅から心斎橋駅で乗り換えて4駅(約20分・230円)

大正駅の周辺には、沖縄感溢れる居酒屋がたくさんあります。

京セラドームが近いから、野球観戦やイベントの前後に寄る人がたくさんいるよ!

大正区の沖縄料理店まとめはこちら

ちょっと変わった行き方

少し変わった方法で大正区へ行くルートを教えます。

大正区は、区全体が運河に囲まれた島状の地形となっています。

1. メガネ橋を渡っていく

大正区と西成区の間に流れる木津川を結ぶ名物橋、「千本松大橋」は上から見ると大きな眼鏡に見えることから「メガネ橋」という愛称で親しまれています。

大きな船が通るため、橋の高さを上げるために螺旋状になっています。

車でも徒歩でも自転車でも渡れる大阪有数の高層大橋。

橋の上からは町全体を見下ろすことができます。

グルグルしていて面白いですが、遠心力で体がぐいぐい持って行かれるので、運転に慣れていない方や三半規管が弱い方は、避けた方がいいかもしれません。

橋の終点が信号になっとるから、橋の途中で止まることがよくあるんじゃ。前の車にぶつからないよう注意して運転するんじゃぞ!

2. 渡し舟にのって行く

歩きでも自転車でも千本松大橋を渡れると紹介しましたが、それよりももっと楽に、自転車で川を越えられる方法があります。

それは大阪市が運営する無料の渡し舟(一部民営化)。

かつて水の都と呼ばれた大阪には、市の運営する渡船場が8カ所あり、買い物や通勤通学の足として日常的に地域の多くの人々に利用されています。

8カ所のうち7ヶ所が大正区にあります。

10〜15分間隔で運行しており、乗船時間は1分ほどですが、無料でクルージング気分が楽しめます。

乗船中の写真やビデオ撮影は安全上、禁止になってるからルールは守ろうね。

渡し船の乗り方についてはこちら

3. シャトルバスで行く

JR難波駅と大阪駅前から大正に向かうシャトルバスがあります。

それは、IKEAと東京インテリアのシャトルバス。(2018年4月からIKEAシャトルバスは無料ではなくなりました。大人:片道210円現金のみ)

IKEA鶴浜店と東京インテリア家具大阪本店は、鶴町にあります。(向かいあってます)

しかしIKEA・東京インテリアから、後述する平尾エリアまで徒歩30分、大正駅まで徒歩1時間かかるのでおすすめできないルートですが、ショッピング➡︎歩いてお腹をすかす➡︎沖縄料理屋、というのも選択肢の一つ(?)

マイカーでIKEAに行く予定がある方におすすめの記事はこちら

大阪沖縄県人会について

大阪市内には、大正/西成/此花/西淀川/港/住之江/北/都島/中央西の9つの県人会があり、堺市には堺沖縄県人クラブがあります。(県人会=他の府県、または他国で、同じ県の出身者が親睦をはかるために組織している会)

大正区内には「大阪沖縄会館」と「大正沖縄会館」があり、大正区以外では西成沖縄県人会が唯一、会館を保有しています。

大阪沖縄会館

こちらの大阪沖縄会館は、大阪沖縄県人会連合会が運営されており、大阪府にある各地域の沖縄県人会の統括機能を担っています。

1階には朝から沖縄そばが食べられる「お食事処 よしや」さんが入っています。

地元の方にも大人気のお店。(※2023年12月閉店)

上の階では、琉球舞踊の教室が開かれたり、プロレスが開催されることも。

大正沖縄会館

こちらは、大正沖縄県人会の拠点場所となっています。

大正区で沖縄の雰囲気が色濃い『平尾』

大正区の中でも特に県出身者が多く、リトル沖縄と呼ばれる場所は平尾(ヒラオ)にあります。

この界隈を歩けば、新垣・玉城・宮城・渡口・金城・城間・新里・儀間・知念・東江さんなど、沖縄の苗字の表札がずらり。玄関にシーサーを置いてある家がたくさん見受けられます。

大正駅から平尾までの行き方

大正駅から平尾までは片道3kmと、少し離れています。

1. バスで行く

大正駅の駅前にある大正橋から71号・76号・91号の大阪シティバスに乗って9駅目の平尾で下車してください。(約12分・210円)

2. 自転車で行く

最近利用者が増加しているシェアサイクルが、駅近くのファミリーマート大正駅北店にあります。

大阪バイクシェアは、大阪市内を中心に設置された好きなポートで自転車を借りて、返却ができるシェアリングサービスです。

近年利用者が増えているので、タイミングよく空き自転車があるかどうか注意する必要があります。

平尾本通商店街

よくメディアなどで、リトル沖縄を味わいたいならここ!と紹介される、通称「サンクス平尾」と呼ばれる平尾本通商店街。

守礼門が描かれた垂れ幕や、シーサーが描かれたシャッターなど、沖縄感満載。


しかし2023年現在、悲しいことに空き店舗が多いのが現状です。

営業しているお店は約2割ほどでしょうか。商店街の入り口に、昭和42年から続く「マルトミ食堂」という有名な沖縄料理の食堂がありましたが、そこも閉店。

2012年にNHK連続テレビドラマ『純と愛』のロケ地だったことを思い起こさせるのぼりも、今は色褪せてしまい、哀愁を加速させています。

しかし、沖縄料理に欠かせない豚肉を各種揃える「仲宗根精肉店」さんや、沖縄食材を豊富に揃える「沢志商店」さんなど、今もなお営業されているお店もあります。

こちらの沢志商店さんでは、スタンダードなポークだけでなく、ガーリックも扱うほど品揃え豊富。

店のお母さんに話しかけると、今帰仁村出身の家系だそうで、今帰仁の話を色々してくださいました。

「”沢志”は今帰仁で多い名前で、もともと、女子サッカー選手の澤さんのに、に氏名のっていう漢字で、澤岻だったのよ。でもこっちの人は読めないから漢字変えてね〜。」

と教えてくださり、とても切ない気持ちになりました。

というのは、昔「琉球人お断り」という看板が当たり前にある時代がありました。

差別から逃れるために、沖縄の苗字を本土風の読みに変えたり、なかには苗字自体を変える人もいました。

大正区出身で、久高寛之選手という元世界ランカーのプロボクサーがいます。

久高選手の父方の祖父母は東村、母方の祖父母は今帰仁出身の方で、久高選手は沖縄3世になります。

本名の読み方は「ひさたか」で、デビュー当時からリングネームにも本名の「ひさたか」を使っていましたが、

デビューして16年目の2017年にリングネームを「ひさたか」から沖縄で一般的な読み方の「くだか」に変えました。

今でこそ、沖縄にルーツがあるというと羨望の対象になりますが、差別や偏見がひどかった時代を乗り越えてきた先人のおかげで今があります。

久高選手の他にも、元体操選手・金メダリストの具志堅幸司さんや、サッカー漫画・ブルーロック原作者の金城宗幸さんも、実は大正区出身の大阪ウチナーンチュ。

大正駅から少し遠いけど、平尾にも足を伸ばしてみてね。

朝日新聞デジタル『今夜も島唄に酔いしれる 大阪のリトル沖縄、100年』(2018年11月28日)
(商店街の動画あり/50秒)

デイリーオキナワ

大正区には一味違ったコンビニがあります。

それは「デイリーヤマザキ大正店」です。

外には「沖縄物産」と描かれたのぼりがはためき、中に入ると沖縄民謡が流れています。

沖縄のスナックやドリンクやアイスはもちろん、惣菜コーナーには島豆腐や沖縄そばの生麺まで置いています。

パンコーナーには手作りのサーターアンダギーも。

このような独自の店舗展開ができているのは、「本社と直談判し、地域の特性を理解してくれたのか、渋々でしたけどOKをもらいました」と取材で語られています。

関西最大エイサー祭り

大正区では毎年2つのエイサー祭りが開催されています。

・がじまるの会主催 エイサー祭り
・River大正エイサーまつり

エイサーとは、沖縄と奄美群島でお盆の時期に踊る伝統芸。

見所はなんといってもエイサー舞踊ですが、三線や島唄ライブもあり、屋台では沖縄グルメを堪能することができます。

フィナーレはカチャーシーで盛り上がって締めるのが恒例。

がじまるの会主催 エイサー祭り

毎年9月の第2日曜日に千島公園グランド(大正区役所近く)にて開催。

2020年、2021年、2022年度の開催はコロナの影響により中止となりましたが、40年以上続くエイサーまつりです。

参加団体は関西のみならず、本場沖縄や全国各地から集まり、来場者は2万人を超える関西最大規模のイベント。

2019年の『がじまるの会主催 第45回エイサー祭り』には、玉城デニー沖縄県知事もかけつけ、弾き語りLIVEを披露されました。

▼がじまるエイサー広報部facebookページはこちら
@kansai.okinawa.gajimarunokai

River大正エイサーまつり

毎年8月の第4日曜日に平尾公園(平尾商店街近く)にて開催。

2013年からはじまったRiver大正エイサーまつり。

こちらは元祖がじまるの会主催エイサー祭りに比べると規模は小さく、地域の小さなお祭りという感じですが、年々出店も増え、遠方からの来場者も増えているようです。

2019年の第7回River大正エイサーまつりには、初めて本場沖縄から北谷謝苅青年会エイサーも参加されました。

3年ぶりに開催された2022年度のエイサーまつりには、シークレットゲストで元THE BOOMの宮沢和史さんが登場。

第8回RIVER大正エイサーまつりのイベントレポートはこちら

どちらも入場無料!気軽に遊びにきてね〜!

復帰50の物語 第34話 リトル沖縄における“復帰”

2022年9月1日、QAB 琉球朝日放送の情報番組『CATCHY』にて、

『復帰50の物語 第34話 リトル沖縄における“復帰”』が放送されました。(2週にわたり放送)

大阪のリトル沖縄がどんなところか、

沼尻アナウンサーによる現地取材を通して詳しく知ることができます。

インターネットでアーカイブ映像がご覧になれます。

復帰50の物語 第34話 リトル沖縄における“復帰”

大正区がどんなところか伝わりましたでしょうか。JR大正駅は、ユニバーサルシティ駅から電車でわずか12分ですので、大阪観光の際には是非お立ち寄りください。長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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